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 ▼温故知新;このようにしてナチスドイツの覇権は確立した  流水 04/6/4(金) 11:56

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 ■題名 : 温故知新;このようにしてナチスドイツの覇権は確立した
 ■名前 : 流水
 ■日付 : 04/6/4(金) 11:56
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   ナチス・ドイツは、一夜にしてできたのではありません。
麻薬におぼれるように、少しずつ少しずつ事態が進行し、不図気がついたときには、見事に麻薬中毒になっていたのである。

下の文章は、ナチスドイツの支配下に生きた普通の市民の述懐である。現在の日本と比べ合わせて見るのも、意味があるのではないか、と思う。
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◆「一つ一つの措置は、きわめて小さく、きわめてうまく説明された。”時折遺憾”の意が表明されるという次第で、全体の過程を最初から離れて見ていない限りはーこうしたすべての”小さな”措置が原理的に何を意味するということを理解しない限りは、−人々が見ているものは、ちょうど農夫が自分の畠で作物が伸びていくのを見ているのと同じなのです。ある日気がついてみると作物は頭より高くなっているのです」

◆「どうか私を信じてください。これは本当の話なのです。何処に向かって、どうして動いて行くのか見極められないのです。一つ一つの行為、一つ一つの事件はたしかにその前の行為や事件よりも悪くなっている。しかし、それはほんのちょっと悪くなっただけなのです。そこで、次の機会を待つということになる。何か大きなショッキングな出来事が起こるだろう。そうしたら、ほかの人々も自分と一緒になって何とかして抵抗するだろうというわけです」

◆「気がついてみると、自分の住んでいる世界はー自分の国と自分の国民はーかって自分が生まれた世界とは似ても似つかぬものとなっている。いろいろな形はそっくりそのままあるんです。・・・けれども、精神はすっかり変わっている。
にもかかわらず精神を形と同一視する誤りを生涯ずっと続けているから、それはきずかない。
いまや自分の住んでいるのは憎悪と恐怖の世界だ。しかも、憎悪し恐怖する国民は、自分では憎悪し恐怖していることさえ知らないのです。
※ 誰も彼もが変わっていく場合には誰も変わっていないのです」
             ミルトン・メイヤー「彼らは自由だと思っていた」
             丸山真男「政治的なるものとその限界」所収
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この文章は、かなり正確にナチスドイツの支配下を生きた市民の意識を述べている。

【気がついてみると、自分が生まれた世界と似ても似つかぬものとなっている】のは、現在の日本の状況を彷彿させる。
【いろんな形はそっくりあるんです・・・けれども、精神はすっかり変わっている】ことも実感できる。

今回の強行採決に見られる【民主主義に対する軽視、蔑視】の精神は、いよいよ日本も本格的ファッシズムの時代に突入し始めた予兆であろう。

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