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 ▼西武王国の崩壊  流水 05/3/4(金) 9:08

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 ■題名 : 西武王国の崩壊
 ■名前 : 流水
 ■日付 : 05/3/4(金) 9:08
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   堤義明前コクド会長が逮捕された。
逮捕理由は、有価証券報告書虚偽記載とインサイダー取引容疑である。
堤流の経営術は、父堤康次郎以来、一貫して安い価格で土地を購入し、その土地に
リゾート施設、ホテル、スキー場などを経営し、付加価値を高める方式である。
まさに、【土地こそ命】という経営術である。

もともと、創始者堤康次郎氏は、戦前軽井沢(中軽井沢)の別荘開発、箱根鉄道などを通じて財を築き、戦後は皇族などの広大な土地を格安購入し、その跡地にホテル(プリンスホテル)を経営して、莫大な財を築いた。その強引な手法からピストル堤(ピストルで狙撃された事件からついた)と異名をとり、東急の会長五島慶太(強盗慶太)と並び称される戦後経済界の風雲児だった。

今回の有価証券虚偽記載の淵源は、この創始者堤康次郎氏の莫大な遺産を如何にして相続税を支払わずに、堤義明氏に継承させるか、というところにはじまる。
その手法が、個人財産をできるだけ会社(法人)の名義にして、その会社の株を堤家が保有して会社を支配するという構図である。
ところが、その株を堤家だけが保有していると、相続税が多額になるので、株券の名義だけを多数の人間に分散し、その株券を会社で保管・管理するという方法をとった。
しかも、会社は会社で、例えば事業活動で1億円の利益をあげると、その一億円の金利に限りなく近いお金を銀行から借り、そのお金を土地購入に使う。そうすれば、利益が上がっていないので税金をほとんど払わなくてすむという手法をとった。
そのため、コクドは税金を払わない企業で有名だった。

こう見てくると、西武グループという企業は、堤家のための企業であり、企業の社会的責任という発想はほとんどないのではないかと思われる。
本来、株というものは、企業活動を行う資金を広く社会から集めるためのものである。お金を社会から集めるということは、自社の経営内容を情報公開しなければならないし、公表した内容に虚偽があってはならない。本来的にいうと株式会社というものは、経営者のものではなく、株主のものであると原則に基づいている。
ところが、ライブドアとフジTVの争いでも分かるように、現在でも経営者の意識の中では、この原則が転倒している人が多い。
堤義明氏は、その代表格であり、彼の逮捕はその意味で旧体制の崩壊の象徴でもある。

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