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 ▼核抑止論  曳馬野 太郎 05/8/4(木) 11:53
   ┣Re(1):核抑止論  ウミサチヒコ 05/8/4(木) 12:58
   ┣核抑止論(2)  曳馬野 太郎 05/8/4(木) 16:16
   ┃  ┗Re(1):核抑止論(2)  questiontime 05/8/4(木) 21:35
   ┃     ┗Re(2):核抑止論(2)  曳馬野 太郎 05/8/5(金) 7:40
   ┣悪魔のパラドックス  曳馬野 太郎 05/8/5(金) 7:26
   ┣「悪魔のパラドックス」その結末  曳馬野 太郎 05/8/5(金) 13:15
   ┣「逆説的核廃絶手段」  曳馬野 太郎 05/8/5(金) 17:12
   ┃  ┣Re(1):「逆説的核廃絶手段」  ウミサチヒコ 05/8/5(金) 17:29
   ┃  ┃  ┗Re(2):「逆説的核廃絶手段」  曳馬野 太郎 05/8/6(土) 8:04
   ┃  ┃     ┗鋭い。核抑止論の本質です。  退役軍人 05/8/6(土) 12:57
   ┃  ┗Re(1):「逆説的核廃絶手段」  questiontime 05/8/7(日) 14:48
   ┃     ┗Re(2):「逆説的核廃絶手段」  曳馬野 太郎 05/8/8(月) 8:53
   ┃        ┗もしやるとすれば  questiontime 05/8/8(月) 17:50
   ┣「新核ストリップ条約」  曳馬野 太郎 05/8/6(土) 13:56
   ┃  ┗正気の核兵器、狂気の核兵器  退役軍人 05/8/7(日) 3:43
   ┃     ┗核戦略 その1  退役軍人 05/8/7(日) 23:55
   ┃        ┣Re(1):核戦略 その1  曳馬野 太郎 05/8/8(月) 8:12
   ┃        ┃  ┗その2が遅れてますけれど。  退役軍人 05/8/9(火) 20:00
   ┃        ┃     ┗Re(1):その2が遅れてますけれど。  曳馬野 太郎 05/8/10(水) 13:14
   ┃        ┗核戦略 その 2  退役軍人 05/8/10(水) 12:28
   ┃           ┗核戦略 その 3  退役軍人 05/8/10(水) 12:50
   ┣Re(1):核戦争は必ず起こる  HATTORI 05/8/6(土) 14:58
   ┃  ┗Re(2):核戦争は必ず起こる  曳馬野 太郎 05/8/7(日) 8:52
   ┃     ┗Re(3):核戦争は必ず起こる  HATTORI 05/8/8(月) 9:55
   ┣Re(1):核抑止論  ozone 05/8/8(月) 10:58
   ┃  ┗Re(2):核抑止論  ウミサチヒコ 05/8/8(月) 11:45
   ┃     ┗Re(3):核抑止論  ozone 05/8/8(月) 16:26
   ┣いまや節句のようなものか?  曳馬野 太郎 05/8/9(火) 8:27
   ┣Re(1):核抑止論  ぎみゆら 05/8/10(水) 1:45
   ┃  ┗牛刀  曳馬野 太郎 05/8/11(木) 7:55
   ┗「利己的伝子を利用せよ」  曳馬野 太郎 05/8/10(水) 8:34
      ┗Re(1):「利己的伝子を利用せよ」  曳馬野 太郎 05/8/14(日) 8:38

 ───────────────────────────────────────
 ■題名 : 核抑止論
 ■名前 : 曳馬野 太郎
 ■日付 : 05/8/4(木) 11:53
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   「9条の会」アピール文のスレッドの余裕が無くなってきたので、改めます。

核抑止論(1)

核抑止論は、多くの世界中の人々が核拡散防止、核廃絶を遂行しようとする前に立ちはだかる巨大な絶壁である。

核廃絶を実現するには、是非ともこの絶壁を突き崩す必要がある。その理論をいかにして構築するか、核廃絶を真剣に唱えるならば、これは避けて通れない問題である。

いたずらに、「核抑止論者は、タカ派とか軍拡論者である」とか呼び捨てても、あるいは核兵器絶対反対と絶叫しても、それは竹槍を持って戦車に突っ込むようなもので、なんらの効果も期待できないだろう。

なぜなら、核抑止論には、現実論の観点からは、否定し得ない国益を資する利点があるからである。

なぜ米ロ英仏中は核を完全廃棄しないのか(もともと有り余る核兵器の多少の削減に応じることはあっても)インド、パキスタンはなぜ保有したのか、イスラエルはなぜ保有しているとの他国よりの指摘を黙認しているのか、極貧国である北朝鮮までもが核を保有したがる(あるいはした)のはなぜか?
核を保有したがっている国は過去には上記以外にも多数あったであろうし、今後もでてくるであろう。

そして、日本も厳然として米国の核の傘の中にある。

これらは、ことごとく、その主な理由を核抑止論によって説明する事が可能であろう。

感情論によらず、各国それぞれの国益とも矛盾することなく、冷静な論理でこの核抑止論を突き崩す論理を、そしてその戦略的運動を識者は(例えば9条の会の指導者等)提示すべきであろう。(続く)

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(1):核抑止論  ■名前 : ウミサチヒコ  ■日付 : 05/8/4(木) 12:58  -------------------------------------------------------------------------
   ▼曳馬野 太郎さん:

>感情論によらず、各国それぞれの国益とも矛盾することなく、冷静な論理でこの核抑止論を突き崩す論理を、そしてその戦略的運動を識者は(例えば9条の会の指導者等)提示すべきであろう。(続く)

「核抑止論を突き崩す論理」?そんなものはない。あったら教えてくれ。曳馬野 太郎さん、ぜひ教えてもらいたいものだ。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 核抑止論(2)  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/4(木) 16:16  -------------------------------------------------------------------------
   核抑止論(2)

世界中で核保有国が1ヶ国であれば、他国に対する抑止効果は絶大であろう。

それが2ヶ国であって、しかも敵対的関係にあれば、その効果は「囚人のパラドックス」という危うい基盤の上に立脚する。しかしそれ故効果が零であると直ちに言えるわけではないが、その時点から抑止効果は揺らぎ始める。

では3ヶ国、4ヶ国と増加していった場合はどうか、それはその揺らぎがますますひどくなり、保有国の増大が止まらなければ、いずれ予測不可能な偶発的事態の発生で、緊結された抑止の網の目は次々と切断の連鎖を起こして崩壊し
やがて核戦争に至る危険性が極めて高いことになろう。

核抑止論が、外的条件の変化にかかわらず常に有効ならば(それによって戦争が抑止できるという)世界中の全ての国に核兵器を配備させ、その照準を自国の近隣諸国及び主たる仮想敵国に向けさせれば、戦争は回避できるであろうか?(お互い抑止効果が有効に作動して)
まずそんなことを信じる正常な神経の持ち主はいないであろう。

核の拡散は危険性の増大に繋がる。逆に核放棄が進めば、いまだ核を保有している国の抑止効果は高まり、最後の1国となれば、その効果は絶大で、放棄するよりも持つことによる国益は計り知れない。

ここに核のパラドックスが存在する。

人類にとって核は存在しない方が良い事は論を待たないが、一旦持ってしまえば、他国に先んじて放棄する事は出来ない。

この矛盾をどう解消するか、いまもって、人類はこの解決の有効策を見いだせないようである。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(1):核抑止論(2)  ■名前 : questiontime  ■日付 : 05/8/4(木) 21:35  -------------------------------------------------------------------------
   ▼曳馬野 太郎さん:
>人類にとって核は存在しない方が良い事は論を待たないが、一旦持ってしまえば、他国に先んじて放棄する事は出来ない。
>
>この矛盾をどう解消するか、いまもって、人類はこの解決の有効策を見いだせないようである。

全体的には興味深く拝見しました。ただ、核兵器を持った国がそれを廃棄した事例がないわけではありません。
例えば、南アフリカ共和国はかつて核兵器を保有していたことを宣言した上で、それを全て廃棄したと言明しています。

要は、核兵器を持つことによる「抑止効果」と核兵器を持たないことのメリットのバランスの問題ということになるでしょう。そして、そのバランスは各国毎に異なります。

更に厄介なのは、核兵器の保有主体が必ずしも国家だとは限らないことです。
例えば過激な宗教組織が核兵器を保有する事態になれば、それは抑止のためではなく(彼らにとっての)聖戦の道具として使われる可能性が極めて高いわけです。

私自身は核兵器は廃絶されるべきであると考えています。
しかし、核兵器の製造技術は60年以上前の技術ですので、今やかなり多くの国(場合によっては国でなくても)が、その気になれば核兵器を保有することが可能です。

核兵器の廃絶のためには、その元となる核物質をいかに管理するかが鍵を握っています。そして、本当に残念ながら、一部はあなたが仰ったような理由で即時無条件の核廃絶は不可能であると考えています。核の「平和利用」をいかにするかという問題も含めた長期的な取り組みが必要です。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(2):核抑止論(2)  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/5(金) 7:40  -------------------------------------------------------------------------
   questiontimeさん お早うございます。

いくつかの、問題提起(例えばテロ組織と核との結合)など、これも難問ですね。

私の核問題の一連の話は、もう少し続けるつもりです。そのあとでこの問題に言及できればと思います。(大丈夫かな?あまり自信が無いのですが)

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 悪魔のパラドックス  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/5(金) 7:26  -------------------------------------------------------------------------
   ここで、核抑止論を理解する上で、興味深い寓話を紹介しましょう。

「悪魔のパラドックス」

悪魔が、衆人の前に現れて言った。

「皆さん、ここに1千万円相当の金塊があります。ええもちろん正真正銘の本物ですよ。
これを何方でも、ご希望の方にお譲りしましょう。

皆さんの内で、一番高額な値段を付けた方に引き取って戴きます。はいはい1円から競り初めてもよろしいんですよ。

但しちょっとした条件があります。
最終競り値で2番手の人は、申し分けないが、その値段の金額を、私めがちょうだい致しますよ、よろしいですか。

さあ、始めましょう。

そこの、お髭の旦那、はい千円ですか、おやそちらの奥さんは千五百円ね、はいはい、・・・・・」

はてさて、この驚愕の恐るべき結末がどうなっていくか、皆さんは推理できますか?

興味のある方は、ちょっと想像力を働かして、考えてみて戴けますか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 「悪魔のパラドックス」その結末  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/5(金) 13:15  -------------------------------------------------------------------------
   「悪魔のパラドックス」その結末

最初は、冷やかし半分で取り巻いていた群衆も、悪魔が持ち込んだ金塊に手を触れて間違いなく本物だと分かり、眼の色が変わりました。

「1千万の金塊が5万や10万で手に入るならば、ただ同然じゃないか、だまって指をくわえて誰かに持ち去られることはない。」

エゴイズムは、人間の本性です。誰しも自己の「利」を追求する。これを止める手だては無いでしょう。

さて、競り値はじりじりと上がっていきます。一番手Aさんは100万、二番手Bさんが95万となりました。

Bは考えます、「ここで俺が止めれば、悪魔に95万持っていかれる、それなのに競争相手のAは差し引き900万の利益を手にする、とてもじゃないが、引き下がるわけにはいくまい」

このあと、さらにAとBは互いにシーソーゲームを続けます。

しかし、この辺でさすがに、他の人間は「おかしい」と気がつくでしょう。

「一体競り値は何処まで上がっていくのだろうか?たとえ一番で競り落とせてもそれが1000万に近ければ、大した利益にならんじゃないか。
もし2番手だったら大損だ」

「おいおい、こりゃ1000万で終わらんぜ。みてみろよ、もしAが1000万ならば、Bが950万でみすみす引き下がると思うか?まるまるそれだけ損してしまうんだぜ、そんなら1050万で一番になり50万の損で逃げ切ると思うな。」

「だったらAは1100万と言うさ」

「うへー、だったらこの先いたいどこまでいくんだ」。

ふと見ると、悪魔がニタリと嗤ったような気がしました。
***************************

これは、冷戦時代の米ソの軍拡競争を、暗喩した寓話です。
D.R.ホフスタッターの「メタマジック・ゲーム」から引用しました。

数々の難解な核抑止の分析論文よりも、これが一番私には理解しやすいものでした。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 「逆説的核廃絶手段」  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/5(金) 17:12  -------------------------------------------------------------------------
   そこで私案として、逆説的核廃絶の手段を考える。

「逆説的核廃絶手段」

国連で以下の事を取り決める。(条約として)

1 いかなる国であろうと、核兵器は持ちたいだけ持つことを可とする。但し自国内の陸上に配備した核ミサイルに限定する。

2 核ミサイルの照準はあらかじめ明確に定めなければならない。但しその対象国は他の核保有国及び、本条約未加盟国に限定し例外は認めない。

3 核ミサイルを全面的に放棄した国が生じた場合には、他の核保有国は、当該国への核ミサイルの照準を直ちに外さなければならない。

(補足的説明)
当然上記を担保する為に国連は、完全な査察機構を設けることになる。またこの条約を批准しない国は、国際社会より排除すべく、あらゆる手段を講じる権利を本条約批准国は有することを明確にしておく。

例えば、北京とワシントン・DCの照準をお互いに外したければ、2国間の協議により、それを実現することは、本条約になんら抵触しない。

核ミサイル保有国の特定都市の市民が、その頭上に仮想敵国の核ミサイルが吊り下がっているのが厭わしければ、(当該都市に対する仮想敵国の照準は公開されているので)自国の政府に働きかけて上記のようお互いに外すべく要求すべし、である。

*************************
私が考える核廃絶の手段は、以上である。もちろんその実現性は、???といくつもの疑問符が付くが、現在の半世紀以上も取り組んでいる核廃絶運動に比較して、全く荒唐無稽とも思えないがどうであろうか。

明日は60目の、年8月6日である。そろそろ情に訴えるだけでなく、戦略的核廃絶の取り組みを目にしたいものである。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(1):「逆説的核廃絶手段」  ■名前 : ウミサチヒコ  ■日付 : 05/8/5(金) 17:29  -------------------------------------------------------------------------
   ▼曳馬野 太郎さん:
>そこで私案として、逆説的核廃絶の手段を考える。

それは「すべての軍事情報の開示」ということで、私がすでに提案しているものと全く同じ考えです。逆説でもなんでもなく、軍縮に向けた有力なステップです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(2):「逆説的核廃絶手段」  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/6(土) 8:04  -------------------------------------------------------------------------
   ウミサチヒコさん お早うございます。早速の賛同率直に感謝します。

私の提示した条約案(仮称)「新核ストリップ条約」とでもしておきましょう。(ちょっと品がないかな、でも核兵器に敬意を表すのもバカバカしいしねえ)
これについて、補足説明をします。

孫子曰く「上兵は謀を伐つ。其の次ぎは交を伐つ。その次は兵を伐つ。その下は城を攻む。攻城の法は、已むを得ざるが為めなり。」

私の戦略では、一般兵器と核兵器の分断を基本としています。「戦争をなくすため全ての兵器に反対し廃絶しよう」などというスローガンほど「善意の謬見」の最たるものはありません。これでは何一つ解決に向かわないでしょう。

「交を伐つ」とは分断することです。

「兵器さん、あなた達すべてが「悪」と言っているんじゃないないですよ。そりゃあ自衛のための兵器は必要ですよ。ただ核兵器はいけませんあれは別格です。
あれはとんでもなく悪い奴だから、皆さんの仲間に入れてはいけません、だから隔離してみんなでよく監視しましょうね。」ということです。

この分断は、さらに階層構造を有しています。

「(自国内の陸上に配備した核ミサイル)のみが、核抑止力の「嫡子」ですよ。それ以外は正当性を持たない連中です。だからそれらは、あなたの家の中に入れてはいけません、排除してください、そうです、原潜の核ミサイル等は当然いけません。」と言うように、核兵器の特性に応じて、それらも分断し、その監視の一番容易なもののみを残そうとしています。

少しづつ分断して、解決していく、これが上策だと思います。

兵器に関しては、私はまったくの素人です。あまり足を突っ込むと、専門家である退役軍人さんあたりに笑われますので、この辺にしておきますが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 鋭い。核抑止論の本質です。  ■名前 : 退役軍人  ■日付 : 05/8/6(土) 12:57  -------------------------------------------------------------------------
   曳馬野太郎さん、こんにちは。

鋭い指摘ですし、実現可能な核廃絶の道筋を示す示唆が存在します。

▼曳馬野 太郎さん:
>私の提示した条約案(仮称)「新核ストリップ条約」とでもしておきましょう。
>少しづつ分断して、解決していく、これが上策だと思います。
>
>兵器に関しては、私はまったくの素人です。あまり足を突っ込むと、専門家である退役軍人さんあたりに笑われますので、この辺にしておきますが。

失礼な言い方ですけれど、軍事に明るい方だとは思えないのに、本質を突いた指摘であると思います。

冗談ですけれど、特殊部隊隊員のジョークでこんなのがあります。

【でっかいの(核兵器)が、あるから俺たちの出番がねぇんだ。あんなもん駐車場を作るぐらいしか能がねえのに。】

のちほど、具体的な見解を述べます。

嫁さんのアッシー君を勤めなければなりません故。(微笑.....

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(1):「逆説的核廃絶手段」  ■名前 : questiontime  ■日付 : 05/8/7(日) 14:48  -------------------------------------------------------------------------
   ▼曳馬野 太郎さん:
>そこで私案として、逆説的核廃絶の手段を考える。
>
>「逆説的核廃絶手段」
>
>国連で以下の事を取り決める。(条約として)
>
>1 いかなる国であろうと、核兵器は持ちたいだけ持つことを可とする。但し自国内の陸上に配備した核ミサイルに限定する。
>
>2 核ミサイルの照準はあらかじめ明確に定めなければならない。但しその対象国は他の核保有国及び、本条約未加盟国に限定し例外は認めない。
>
>3 核ミサイルを全面的に放棄した国が生じた場合には、他の核保有国は、当該国への核ミサイルの照準を直ちに外さなければならない。
>
>(補足的説明)
>当然上記を担保する為に国連は、完全な査察機構を設けることになる。またこの条約を批准しない国は、国際社会より排除すべく、あらゆる手段を講じる権利を本条約批准国は有することを明確にしておく。
>
>例えば、北京とワシントン・DCの照準をお互いに外したければ、2国間の協議により、それを実現することは、本条約になんら抵触しない。
>
>核ミサイル保有国の特定都市の市民が、その頭上に仮想敵国の核ミサイルが吊り下がっているのが厭わしければ、(当該都市に対する仮想敵国の照準は公開されているので)自国の政府に働きかけて上記のようお互いに外すべく要求すべし、である。

私が考える問題点を挙げます。

1.国連にこの構想を実現する強制力と査察機能があるなら、全ての国に核を持つことを認めるより、全ての国に核を認めないほうが早道である。

2.実際には国連に限らず、現存のいかなる組織もこのような強制力と査察機能を持たないから、結局「いかなる国も核兵器を所有し得る」ことだけが公認されるだけになる。

3.曳馬野さんが最初にあげた、核保有国が増えることによる不安定化を抑制する仕組みがない。

以上により、この方法による核兵器廃絶はできないと考えます。

先にも言いましたように、核兵器廃絶のためには核物質の管理から考える必要があります。核兵器の所有を認めることで、核兵器の削減・廃絶につなげることにはやはり無理があると考えます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(2):「逆説的核廃絶手段」  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/8(月) 8:53  -------------------------------------------------------------------------
   questiontimeさん おはようございます。

私も、今、この私案の孔(欠陥、実現を阻止する障害)について幾つか考えています。

その最大のものが、国連の能力に関してでしょう。

現在曲がりなりにもNPT体制は機能していると考えれば、新条約がそれ比較して、どれほどの飛躍した困難さと、障害に直面するであろうか?ここのところに、人類の英知が試されているとおもいます。

この、新条約の理念が、それが完全な形で実現されれば「いかなる国も核兵器を所有し得る」と謳いながら、「決してそうさせない」という構造を有していることは、questiontimeさんも理解して戴けると思っています。

この問題点は、国連の場における、多数派工作の外交戦略をいかに展開していくか?に移行するでしょう。その為の理論武装の構築が求められます。

questiontimeさんも「これはダメだろう」との評価は、さておき仮にやるとすればいかなる理論武装が可能か考えてもらえればなあ、と思いますが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : もしやるとすれば  ■名前 : questiontime  ■日付 : 05/8/8(月) 17:50  -------------------------------------------------------------------------
   ▼曳馬野 太郎さん:
>questiontimeさんも「これはダメだろう」との評価は、さておき仮にやるとすればいかなる理論武装が可能か考えてもらえればなあ、と思いますが。

先に述べたとおり、国連に曳馬野さんが想定するような査察能力と強制力があるならば、各国に核兵器を持たせる必要はありません。

むしろ、核兵器の全面廃棄をした後に核物質の国際管理をしたほうが有効でしょう。
全ての核物質を例えば国連で管理し、過渡的には原子力発電などの平和利用に必要な分だけを各国に配分し、核廃棄物も国際機関によって再処理もしくは廃棄する。
そして、将来的には原子力発電も全面禁止し「平和的な」核物質利用も医療用など最小限度に止める。

おそらく、ここまでやらなければ核廃絶は難しいと考えられます。

私は、核廃絶が難しいからやるべきではない。あるいはやることに意味がないとは考えていません。しかし、核兵器の保有を容認したまま核廃絶を主張することにはどうしても無理があると考えます。

また、先にも述べたとおり、核兵器の技術自体は60年以上前の技術で、かつ、もし仮に核兵器が全廃されたとしても技術自体は消え去ることはありません。
だから、核兵器全廃のためには、その原料である核物質の管理をすることがどうしても必要になるのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 「新核ストリップ条約」  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/6(土) 13:56  -------------------------------------------------------------------------
   「新核ストリップ条約」

「名は体を表す」と言います。この条約案は、要するに核を丸裸にして相手に見せつけるものです。

「ほらほらこっちを視てよ、あたしあんたを狙ってんだからさあ〜、どおゾクゾクしてきたあ〜」と言うところでしょうか(すいませんね下品で)

この条約案の、我田引水的解説を試みましょう。

「核抑止論賛同者を十分に満足させることが出来る」
いかなる国であろうと、核兵器は持ちたいだけ持つことを可とすれば、これは反論の余地はないでしょう。

「核による先制攻撃を標榜する国はない」
例の中国のおかしな跳ね上がりの将軍は例外として、どこであれ核保有国の政府が公式に「核による先制攻撃を容認する」ことはないでしょう。(本音は分かりませんが)
それはいわば国際政治の場における「ポリティカル・コレクトネス」(Political Correctness)に反し、著しく当該国の国益に反する行為となります。

自国の核が、抑止的、防衛的なものであれば、その存在が「いかなる国であろうと、核兵器は持ちたいだけ持つことを可とする。但し自国内の陸上に配備した核ミサイルに限定する。 核ミサイルの照準はあらかじめ明確に定めなければならない。」との取り決めに反対する強力な理由は無いでしょう。

「非核保有国は、核攻撃の恐怖から逃れられる」
核ミサイルの照準はあらかじめ明確に定めなければならない。但しその対象国は他の核保有国及び、本条約未加盟国に限定し例外は認めない。

このような条約であれば、「核を持ちたい奴らは勝手に持つがいい、俺たちは高みの見物だよ」が成り立ちます。
先に述べた「悪魔のパラドックス」の金塊の競りから逃れられるわけです。

「本条約は、核削減の自動制御装置を持っている」
誰しも、自分の頭の上に、常に禍々しい剣が吊り下がっているその下で、寝起きし生活することを望むでしょうか?

しかし核保有国の国民であると言うことは、それを選択したと言うことに他なりません。

それが厭わしければ、自国の政府を動かしなさい、核保有国同士、二国間取引でも何でもやって、お互い削減交渉をしなさいよ、といっているのです。

北京とワシントン・DCがそれに成功したら、上海とニュウヨークが黙って指をくわえて視ているでしょうか?「何んだ自分たちだけ安全ならいいのかよう?冗談じゃないぜ!」となるでしょう。

「不平等条約の最たる「核拡散防止条約」を葬り去ることができる」
まあこれは、あまり説明を要しないと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 正気の核兵器、狂気の核兵器  ■名前 : 退役軍人  ■日付 : 05/8/7(日) 3:43  -------------------------------------------------------------------------
   曳馬野 太郎さん、こんばんは。

▼曳馬野 太郎さん:
>「新核ストリップ条約」
>>中略
>この条約案の、我田引水的解説を試みましょう。
>>中略
>「不平等条約の最たる「核拡散防止条約」を葬り去ることができる」
>まあこれは、あまり説明を要しないと思います。

もう少し、突っ込んで考えると正解にたどり着けるような気がします。

まさか、国家対国家の枠を考えずに、都市対都市の概念を提示されるとは思ってもみませんでした。

とても新鮮な考え方で驚きというより衝撃でしたよ。
これは、面白い。

さて最初の分類として、

☆正気の核☆・・・・正気の人間が発射ボタンを持っている核兵器
★狂気の核★・・・・狂気の人間が発射ボタンを持っている核兵器

これがあると思うのですけれど、核拡散防止条約の目的には、狂気の人間に発射ボタンを持たせない枠組みという性格も持つと考えてみて下さい。

核兵器を兵器体系として語ると、次の三要素に収斂します。

★核弾頭

★投射手段(運搬手段)

★目標評定システム(誘導システム)

このどれか一つを無効にすれば良いということかと。

さらに核戦略は、初期の配備時から次のように変遷してきました。

大量報復戦略(massive retaliation strategy)

柔軟反応戦略(flexible response strategy)→同義→多角的オプション戦略(multi-option strategy)」

確証破壊戦略(assured destruction strategy)

相殺戦略(Countervailing Strategy)

SDI・MD構想等へ、確立しているかどうか、やや疑問。

これは、米国の核戦略における流れを示しています。
しかしながら、こういった核戦略において、理念としても配備の現状からみても、米国に追随出来ている国家は存在しません。

こういった点も含めて、次の投稿で現状の核戦略の実態を私なりの見解で述べます。

私は、核兵器廃絶を地球規模での平和と安定を考える上で必要不可欠であると考えます。時間はかかるでしょうが、いつの日にか実現される事を切実に願っています。

付け加えるならば、軍務の経験を持ち核兵器を良く知る者が、これを最も望んでいる、と申し上げておきます。

もう朝に近い夜になりましたので、続きは夜が明けてから。

失礼いたしました。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 核戦略 その1  ■名前 : 退役軍人  ■日付 : 05/8/7(日) 23:55  -------------------------------------------------------------------------
   続きです。

さて、具体論に移る前に現在の核保有国を列挙してみましょう。

米国・ロシア・中国・フランス・イギリス、ここまでは安保理の常任理事国の顔ぶれですねぇ。

続いて、インド・パキスタンですね。核実験をやって核保有国となりました。

イスラエルは肯定も否定もしていませんが、保有していると考えるべきでしょう。
中東地域での核兵器のアドバンテージを守るために、イランが本格的な核開発を進めれば、イラクにしたように核関連施設への直接的な軍事力行使も辞さないでしょうね。

それだけの能力と資産を保有していますから、イランが持つ防空能力なんて障子の紙みたいなもんだという現実もあるし。

そして、米国が歩んできた核戦略の変遷のどの位相(位置では不適切なので)に各国の核戦略があるのかを考えてみるべきだと考えます。

閑話休題

大量報復戦略(massive retaliation strategy)

これは、1950年代にダレス米国務長官が提唱した理念に基づいています。
これは、地球規模での共産主義の浸透という時代の背景がありました。
世界における共産勢力の全ての侵略はソ連の画策と支援によるものであり、これを阻止しなければ米国と自由主義国家群(西側諸国と同義)の安全が脅かされる。

こういった認識に基づく危機感が根底にあります。

世界中のどこであろうと、即時に報復できる核戦力を保持することにより、共産主義勢力のあらゆる規模の侵略を【抑止】しようとする戦略です。

この戦略は、大きな戦争にはそれなりの抑止力を発揮しました、これは事実上米国が核戦力を独占していた背景が成したものです。
但し、複雑な背景と様相さらには地政学的複雑さを持つ小規模で局地的な戦争に対しては無力なものでした。

私見ですが、北朝鮮が目指す核戦略はこれです。

上記の文の「米国」を北朝鮮に、共産主義を米国のグローバル戦略と読み替えて頂ければ、ご理解頂けると思います。

何故、核兵器の獲得を目指すのか。
何故、ミサイル開発を続けてテポドン 2 の実戦配備を目指すのか。

射程5,000Kmを超えるICBMを開発し、アラスカと言えど米国本土を攻撃可能なミサイルを手にする。
また、このミサイルに搭載可能な核弾頭を開発して搭載する。

米国がその影響力、あるいは直接的軍事行動で政権が崩壊の危機に陥るような場合を想定しているということ。
つまりそういった場合に、米国本土を直接核攻撃できる能力を持つことで安全保障、いや政権存続の担保を持とうとしている訳です。

六ヶ国協議では、これを断念させようとしている訳です。
個人的には、北朝鮮が核兵器を断念する訳が無いと思います。

今回の六ヶ国協議で、北朝鮮が核の平和利用に固執しているのは何故なんでしょうね。

前回のKEIDOの枠組みという、壮大な詐欺に米国を始めとして関係国が引っかかってしまった。

核兵器開発の為の時間稼ぎをしながら、稼働のあてもない原子炉建設工事で多額の外貨を得ると共に、発電用の重油も得られた。

これをもう一度と考えているのでしょうが、前回の経験で学んだ関係国が引っかかる訳はない。

米朝協議が六ヶ国協議の主体となるのは当然のこと。
蚊帳の外に置かれているとのご批判も目にしましたけれど、もともと六ヶ国協議に加わって得られる国益なんてたいしたもんじゃあありませんし、国交正常化なんて拉致事件問題が解決しないとありえませんしね。

なにかの負担を求められた時に、応分の負担ならOKと言えば良いし、過分な負担ならNOと言えば良いだけのこと。

続きます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(1):核戦略 その1  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/8(月) 8:12  -------------------------------------------------------------------------
   退役軍人さん おはようございます。

昨日は、出掛けてしまって返事が遅れ、失礼しました。
今、続きを心待ちにしながら拝読しています。

実は正直に白状すれば、この私案、退役軍人さんにまで無視されるようなら「やっぱり単純な素人の思いつきの荒唐無稽な噴飯もの」であったかと自嘲し納得するつもりでした。

何はともあれ、退役軍人さんとウミサチヒコさんに、同時に曲がりなりにも肯定的評価を得ることは、この板ではちょっとした「椿事」であるかな?と一人悦にいっています。

ウミサチヒコさん、さらなるご意見、お待ちしてますよ。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : その2が遅れてますけれど。  ■名前 : 退役軍人  ■日付 : 05/8/9(火) 20:00  -------------------------------------------------------------------------
   曳馬野 太郎さん、こんばんは。

8/30公示で総選挙になっちまったもんで。
8/29の週始めからから選挙終了まで、OJT中止になりました。

基幹回線の設定変更を伴う作業が出来ないからです。

工程の調整で四苦八苦してます。
ほぼ落ち着いたので、のちほど続きを投稿します。

忘れた訳じゃあありませんので。

申し訳なく。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(1):その2が遅れてますけれど。  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/10(水) 13:14  -------------------------------------------------------------------------
   退役軍人さん こんにちは

>忘れた訳じゃあありませんので。

いえいえ、お気遣いなく。どうぞお仕事の方を優先させてください。
退役軍人さんの投稿文は、すこしづつ咀嚼して、勉強させて戴きます。

当方は、素人の気楽さで、適当に蟷螂の斧を振り回しています。
例え車輪の下敷きになって恥をかいても、私は苦にしません。(職業人としての私の専門領域は、まったく別のところにあるので)

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 核戦略 その 2  ■名前 : 退役軍人  ■日付 : 05/8/10(水) 12:28  -------------------------------------------------------------------------
   続きです。

軍事に明るくない閲覧者の皆さんを意識して、出来るだけ記述を簡略化して一回の投稿を短くいたしました。
長文が多いとのご批判も承知しております故。(笑

難解であるかも知れませんが、疑問を持たれた方がありましたら遠慮なく質問していただければ幸いです。

閑話休題

大量報復戦略による核兵器抑止力が限定的なものに過ぎなかった、という反省から核戦略は通常戦力と表裏一体の物であるという認識が出来ました。

こういった認識とソビエト連邦が核兵器とその投射手段を手にしたことにより、核兵器は米国の独占ではなくなった現実も大きな要素になりました。

ケネディ時代のキューバ危機に象徴されています。
1962年10月キューバ危機で、人類は絶滅の淵を見ましたから。
しかしながら、柔軟反応戦略への転換途上であったために米国の対応は大量報復戦略に沿ったものでした。
お互いが絶滅してしまうという認識がソビエト連邦を思い止まらせたということですから、この戦略はその効果で全面核戦争を抑止したことになります。

★柔軟反応戦略(flexible response strategy)

1961年に当時のケネディ大統領により採用された戦略です。
通常兵器による限定的地域戦争から、全面核戦争に至るまでを、規模の違いを段階に過ぎず一連の戦争行為であると捉えて、どの段階でも対応可能な能力を持つことで、全ての段階の戦争を抑止しようとする戦略です。

これは、大量報復戦略による抑止の信頼性が低下したことによります。
ソビエト連邦が、1950年代後半に戦略爆撃機という投射手段を手にしたこと、さらには1957年8月にICBMの実験に成功したことにより、核兵器による大量報復が米国の独占ではなくなったことを理由とします。

大量報復戦略では、限定的な紛争が勃発しても大量報復かあるいは何もしないかの二つの選択肢しかありませんから。

ゲリラ戦を仕掛けられても選択可能なオプションが、核兵器による大量報復か、あるいは何もしないか、この二つしかないのでは有効な抑止力にはならないということですね。

通常兵力紛争に対しては、1963年頃のベトナム戦争から適用されています。
この基本路線はカーター政権まで継承されていました。

但し、核戦略に関しては投射手段であるICBMに作戦運用上の柔軟性(固定標的・大型単弾頭)を欠いていたために確証破壊戦略へ向かいます。

続きます

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 核戦略 その 3  ■名前 : 退役軍人  ■日付 : 05/8/10(水) 12:50  -------------------------------------------------------------------------
   続きです。 

★確証破壊戦略(assured destruction strategy)

1965年の国防報告で、マクナマラ国防長官が提唱した戦略です。
これは、損害限定戦略が根底にあります。後述します。

先制攻撃を受けた場合でも、投射手段の多様化(ミサイル・戦略爆撃機・ミサイル原潜)や、ミサイルサイロに核攻撃による耐性を持たせて反撃力を担保すること。

さらには先制攻撃ミサイルを打ち落とすABMの開発などで、相手を完全に破壊できる核戦力を保持するということ。

即ち、核攻撃を行った国家に対して確実に報復できる核戦力を保持することで、核兵器による先制攻撃を抑止しようとする戦略です。

この考え方には根底に損害限定戦略があります。

ソビエト連邦の軍事力を破壊するということは、米国の損害を限定することと同義であるからです。
即ち、常に先制攻撃への誘惑が存在し、この危険を担保できる物理的手段を持たないということになります。

ところが、「相互確証破壊(Mutual Assured Destruction」という術語が使われだした1967年頃から、この誘惑が恐怖に変わる現実が双方に現れました。

つまり、先制攻撃をしても自国の損害を限定することができなくなった、それだけ多くの投射手段と数千発を超える核弾頭を双方が保有することになったからです。

個人的には、この状況が1970年代までの緊張緩和【デタント】を産み、人類を全面核戦争から救ったと考えています。

地球を何十回も破壊できるだけの核兵器が、核戦争を抑止したというなんとも皮肉な結果ですけれど。

核抑止論の本質はここにあります。
なんとも愚かなことではありますが。(苦笑

付け加えるならば、ロシアや中国の核戦略は、この位相にあると言えます。

インドとパキスタンについては、地域紛争であり双方が核兵器による全面戦争に至ったとしても、双方の国家が多大な損害を被るだけです。

近隣諸国への被害は拡散されるであろう放射能被害に限定されると考えられます。

従って、全球規模での戦略構想とは決定的な違いがあります。
これは、曳馬野 太郎さんが提唱される核廃絶への道筋の、一つの過程を示していると同時に、その可能性を証明する現実でもあろうかと。

お互いに、頭の上に相手の核兵器がぶら下がっている状況ってことですから。

こういった現実が私に与えた認識。
これが、曳馬野太郎さんが提唱される核廃絶への道筋、これに興味を持たせたし、示唆するものが人間の本質に迫ると思える理由なのでしょうね。

続きます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(1):核戦争は必ず起こる  ■名前 : HATTORI  ■日付 : 05/8/6(土) 14:58  ■Web : http://www002.upp.so-net.ne.jp/HATTORI-n/  -------------------------------------------------------------------------
   ▼曳馬野 太郎さん:
>「9条の会」アピール文のスレッドの余裕が無くなってきたので、改めます。
>
>核抑止論(1)
>
>核抑止論は、多くの世界中の人々が核拡散防止、核廃絶を遂行しようとする前に立ちはだかる巨大な絶壁である。
>
>核廃絶を実現するには、是非ともこの絶壁を突き崩す必要がある。その理論をいかにして構築するか、核廃絶を真剣に唱えるならば、これは避けて通れない問題である。
>

核戦争は必ず起こる、核抑止論など詭弁です。
    
被爆国で平和憲法を有する日本は海外から平和国家との評価を得ているのでしょうか。
「核戦争は起こるはずはない」と世界の為政者は勿論、人類の多くも認識しているのではないのでしょうか。はたしてどうか。むしろこの認識が危険なのです。
原爆に限らず「事故は起こるはずがない」の感覚は危険なのです。核戦争も例外ではなく事故全てに当てはまるのです。
原爆を保有している限り核戦争は必ず起こるのです。

▼日本人は平和を好む人種と世界に広めよう。
続き
http://www002.upp.so-net.ne.jp/HATTORI-n/424.htm


 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(2):核戦争は必ず起こる  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/7(日) 8:52  -------------------------------------------------------------------------
   HATTORIさん おはようございます。

>核戦争は必ず起こる、

う〜ん、そう言えば麻原彰晃もそんなことを言ってましたね。
私は予言の類はまったく信用しない方ですから、起こるとも起こらぬとも断言出来ません。

核戦争は、地震と異なり人為的事象ですから、予防の可能性が無いとは言えないでしょう。

HATTORIさんもよもや、起こることを期待しているわけではないでしょうから、いかにしたら、予防できるか、不幸にして起こったらその被害をいかに最小限度に止めるか、出来るだけ具体的に考えてみて下さい。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(3):核戦争は必ず起こる  ■名前 : HATTORI  ■日付 : 05/8/8(月) 9:55  ■Web : http://www002.upp.so-net.ne.jp/HATTORI-n/  -------------------------------------------------------------------------
   ▼曳馬野 太郎さん:
>HATTORIさん おはようございます。
>
>>核戦争は必ず起こる、
>
>う〜ん、そう言えば麻原彰晃もそんなことを言ってましたね。
>私は予言の類はまったく信用しない方ですから、起こるとも起こらぬとも断言出来ません。
>
>核戦争は、地震と異なり人為的事象ですから、予防の可能性が無いとは言えないでしょう。
>
>HATTORIさんもよもや、起こることを期待しているわけではないでしょうから、いかにしたら、予防できるか、不幸にして起こったらその被害をいかに最小限度に止めるか、出来るだけ具体的に考えてみて下さい。

やはり核戦争は起こると思うのですね。なら抑止力ではないですね。

事故防止で不可欠なのは、自動車事故でも同じだが、事故は必ず起こると信ずることが事故防止の基本なのです。

核戦争も例外ではないのです。核戦争は起こり得ないと思うことが極めて危険なのです。そもそも抑止力との認識は使うという意志が存在するのです。

核戦争防止には「核戦争は必ず起きる」この認識が必要なのです。

「政治家よ大志を抱け」
http://www002.upp.so-net.ne.jp/HATTORI-n/090.htm

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(1):核抑止論  ■名前 : ozone  ■日付 : 05/8/8(月) 10:58  -------------------------------------------------------------------------
   ▼曳馬野 太郎さん:

>なぜ米ロ英仏中は核を完全廃棄しないのか(もともと有り余る核兵器の多少の削減に応じることはあっても)インド、パキスタンはなぜ保有したのか、イスラエルはなぜ保有しているとの他国よりの指摘を黙認しているのか、極貧国である北朝鮮までもが核を保有したがる(あるいはした)のはなぜか?
>核を保有したがっている国は過去には上記以外にも多数あったであろうし、今後もでてくるであろう。
>
>そして、日本も厳然として米国の核の傘の中にある。

私は核の被害を三度も受けた唯一の被爆国日本が、率先して積極的に先ずアメリカに核廃絶をするように働きかけることが、核廃絶への最短距離だと思います。

---------------------------------------------
このような核の脅威を減らすためには、兵器の存在そのものを拒絶しなければなりません。その先頭に立つ責務が、日本政府にはあります。政府は、米ロ両国に対して、核兵器の廃絶を今まで以上に強く働きかけるべきでしょう。

http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm
---------------------------------------------

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(2):核抑止論  ■名前 : ウミサチヒコ  ■日付 : 05/8/8(月) 11:45  -------------------------------------------------------------------------
   ▼ozoneさん:
核戦争を無くすには核を使わないことを世界共通の約束ごとにしなければなりません。そのためには、二国間核不使用条約を結んで行かなければなりません。そのために障害になっている問題をあぶりだす。それが「出来る」政府を作る。
核の使用権限が国単位でまとまっていて、その他の個人・地域が核の所有を放棄していないと、核の不使用条約は意味を持ちません。
すなわち、今世界に発生しているテロや民族紛争の問題が解決されなければなりません。それは、グローバリズムと呼ばれる新資本主義のしていること、及びその亜流を見直すことが不可欠です、すなわち、アメリカ的外交&経済を見直さなければなりません。それを「出来る」政府を作る。

核は地雷などと共に、戦争が終っても悲劇を生産し続ける残虐な兵器です。しかし、いままで歴史上、その何百何千何万倍の人々が通常兵器で殺されて来たでしょうか。通常兵器・戦争それ自体同じく廃絶されなければなりません。それらの目標は誰でも語ることができます。しかしそのために何をするかとなると、ただ祈ることだけでしょうか。決してそうではありません。各国・地域の人間が、自分達民衆の声に基づき、政府を変えて行くことです。

それが戦争を無くする最短の行為です。自らの国・地域のデタラメ政権すら変えられないのでは、いくら崇高であっても核廃絶の理念・運動は空回りでしょう。核兵器廃絶の第一歩はそれです。ですから目標は明白です。政権を変える。そのための原動力は民の声が政権に届くシステムです。あらゆる反戦、反核の運動はこれをめざして進むのでなければなりません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(3):核抑止論  ■名前 : ozone  ■日付 : 05/8/8(月) 16:26  -------------------------------------------------------------------------
   ▼ウミサチヒコさん:

>▼ozoneさん:
>核は地雷などと共に、戦争が終っても悲劇を生産し続ける残虐な兵器です。しかし、いままで歴史上、その何百何千何万倍の人々が通常兵器で殺されて来たでしょうか。通常兵器・戦争それ自体同じく廃絶されなければなりません。それらの目標は誰でも語ることができます。しかしそのために何をするかとなると、ただ祈ることだけでしょうか。決してそうではありません。各国・地域の人間が、自分達民衆の声に基づき、政府を変えて行くことです。

「Goverment by the people」ですね。 それが原点だと私も思います。

私は核兵器をはじめとして人殺しのツールである兵器の縮小、その製造の廃絶も大変重要なことだと思います。 人殺しの兵器を鍬、鋤に変えなければなりません。 その点ではそれを製造し、販売する死の商人の活動を絶対許してはならないと思います。

五十嵐仁先生は実に明快に明るい情勢分析と展望を提唱しております。
-------------------------------------
しかし、21世紀に入って、軍隊は不要になってきています。主要な脅威が国家間の戦争ではなく、テロリズムになってきているからです。第2次世界大戦が終了してから60年間、先進国が着上陸型の侵攻を受けることはありませんでした。これからもその可能性は、ほとんどないでしょう。
したがって、先進国において軍隊は無用になりつつあります。テロを取り締まるのは警察の仕事ですから、必要なのは軍隊ではなく警察です。

(SKIP)

様々な形で紛争は生じても、それを戦争にまで拡大せずに解決しなければなりません。そのためには、集団的安全保障の仕組みや外交の力、それに警察の力こそが必要です。
核兵器を廃絶し、戦争を防ぎ、軍隊の存在と役割を可能な限り縮小させていく。これが、21世紀において目指されるべき目標です。そのためには、まずもって、核兵器、戦争、軍隊が「必要悪」だという思い込みをなくし、これらはみな「不要悪」だと認識することから始めなければなりません。

http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm
-------------------------------------

ブッシュ・アメリカがイラクで戦争では勝っても政治では敗北している実相がよくこのことを証明していると思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : いまや節句のようなものか?  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/9(火) 8:27  -------------------------------------------------------------------------
   いまや節句のようなものか?

1月7日「人日の節句」、3月3日「上巳の節句」、5月5日「端午の節句」、7月7日「七夕の節句」、9月9日「重陽の節句」。

日本の四季のはっきりした変化の中で、節句を祝う、これは美しい日本の伝統文化であるだろう。そして暮れも押し迫れば「そろそろクリスマスだね」となんとなくそれを迎える心情もまた節句の心か?

何しろ「本地垂迹説」を生み出したほどの日本文化の融通無礙である。メリークリスマスに続いて初詣も季節の流れに沿って、なんの違和感も感じない自然体。
私はそれでいいと思う。

そしてまた、毎年、じりじりと太陽が照りつける暑い夏が巡ってきて、8月6日、9日さらにお盆を迎えて15日、戦没者を追悼し、平和を祈念する、これもまた「節」を祝う日本人の心情に則してもはや、日本の伝統文化となりつつある。これもまたよしである。

しかし、日本人の伝統文化、その思考のパターンが(いかに優れていても)、世界の中で普遍性をもつ、と言うわけではない。

核廃絶の訴えを「節」の中に組み入れて、半世紀も訴え続けても、それが実現に近づくのみか、むしろますます遠のく実態を冷静に見れば、本気で核廃絶をやろうとしているのかどうか、私はいささか疑念を持たざるを得ない。

核廃絶は、国家戦略として構築して行かなくてはならない。それは1国でなし得ることで無い以上、他国の国益とからめ、「利」で誘導し、対立する勢力を追いつめ、分断し、取り引きし、権謀術数を駆使しなくてはならない。

8月に入り、先の戦争に思いを馳せ、平和を祈念し、核廃絶を世界に訴え、8月15日がやがて通りすぎて、潮が引いたように忘れていく、そしてまた来年くりかえす。

これは、核廃絶戦略とは異次元の、美しき日本の伝統文化ではある。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(1):核抑止論  ■名前 : ぎみゆら <gimiyura@fox.dti2.ne.jp>  ■日付 : 05/8/10(水) 1:45  -------------------------------------------------------------------------
   曳馬野 太郎さん


一連の書き込み、とても興味深く読みました。当方の個人的な事情で
数日お返事ができずに申し訳なく思います。ごめんなさい。以下は、
このスレッドで述べられたこと全般に対するお返事と受け取って
いただければと思います。

核兵器全面廃絶というテーマは、世界的に見て、とても多くの人が、
ぜひ成し遂げるべきと願っていると共に、少なからぬ人が、実際には
なかなか難しいだろうと思っていることなんだろうと私も思います。

たぶん、世界中の人々が、初めて、本当に切実に、共通の課題として
立ち向かう大きなテーマなんじゃないか。東西冷戦時代は、そんな
問題の立て方そのものが、まだ本気じゃなかったんじゃないか。

でもいま、インドとパキスタンが、イスラエル、北朝鮮が、核兵器を
持っている。みんな国として、あるいは民族として、長い歴史を持つ
国々、あるいは人たちですよね。それが、そんな愚かな、あえて明言
しますが、そんな愚行に踏み切るって、いったい何なんだろう。

それらの国々には失礼を承知でいうのですが、「現在世界的な見地で
見て『弱者』の国々が、強引に、紛争対処、国力誇示の手段として、
核兵器保有に踏み切り始めている」ということだろうと思うのです。

それは絶対にいけない。それは、絶対に食い止めなければいけない。
NPT 交渉というのは、ある面、そういう考えから起こってきたもの
だろうと思うのですが、しかし先般は挫折した。それは根本的には、
核保有五大国という「強者の論理」が最大の邪魔者だったはずです。

率直にいって、東西冷戦が終わったいま、核兵器はもう要らないん
です。もちろん、もともと要らないんですが、あれは、アメリカと
ソ連が競争してどんどん作ったものです。人類何万年か、地球何百
万年か何千万年か知らんが、そんな歴史さえ完璧に破壊するものを、
いまも大量に持ち続けているのが、そもそも大馬鹿者なんです。

そこで、曳馬野 太郎さんのおっしゃった、「一般兵器と核兵器の
分断」という提言に、「そうだ、そうだ」と思いました。それは、
私にいわせれば、「核兵器を孤立」させることです。

それはさらにいえば、現在における最大の核兵器保有国であり、ただ
一国、実際に二度、無数の非戦闘市民の頭上に核兵器を投下した国で
あるアメリカを、そのような国として「孤立」させることです。

そのためにも、原爆被害、核兵器の被害、それを、徹頭徹尾明らかに
し続ける。それがやはり日本の被爆者運動の原点であり、「あの日」
から60年経ったいま、その到達点ともいえるのではないかと、私は
思っています。

ひと言でいえば、広島と長崎に原爆を落としたアメリカを、けっして
許してはいけない。報復とか、復讐とか、そういうことではなく、
原爆の投下とその空前絶後の巨大な被害という絶対的な犯罪性に
対する追及の手を、絶対にゆるめてはいけない。それが実は、核兵器
全面廃絶への一番の近道なのではないかと、私は最近思っています。

そのためには、私たち日本の国を、「核兵器よ、孤立せよ」と堂々と
言える国にすること。そのためにはまず、日本を「けっして戦争を
しない国」であり続けさせなければなりません。

それから、これは少々時間がかかるかもしれませんが、日本をどんな
国の「核の傘」からも離脱させること。諸外国、とくにアジア諸国の
目から見れば、どこかの国の「核の傘」に入っているというのは、
日本そのものが核武装国であるということと、ほとんど変わりはない
だろうと思うからです。

曳馬野 太郎さんが、核兵器廃絶について、非常に熱心にお考えに
なっていることはよくわかりました。「一般兵器と核兵器の分断」
── それはとても鋭い視点です。

そのような視点をもって、いま核兵器廃絶に向けて声を上げている、
とくに若い人たちに対して、直接、叱ったり、励ましたりしてあげて
ほしいと思います。どうか、お願いいたします。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 牛刀  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/11(木) 7:55  -------------------------------------------------------------------------
   牛刀

ぎみゆらさん おはようございます。

「分断」と言うことで、荘子 養生主篇「庖丁」の話を思い出しました。

「庖丁の刀は、動物の関節や骨や肉の組織の筋道に沿って,自在に動き包丁を使い始めて19年,すでに何千頭もの牛を調理していまだに刃こぼれ一つなし。

文恵君、これを聞いて、「為す無くして、為さざる無し」を達観した。」

巨大な組織や複合体を分断しようとする場合、強引に骨や筋を切り裂こうとしてもそれは無理です。生木を力任せに裂こうというのは、避けるべきでしょう。

切断面の少なくとも片面は、他面との分離を苦痛よりもむしろ歓迎、待ち望んでいるくらいの筋道に沿って、牛刀を走らせるのが肝要と思います。

例えば、通常兵器と核兵器も、これを一体のものとして立ち向かうのは下策と言えます。この両者の間に筋を設け、この線に沿って、分断を計る方策を探ることが有効と私は考えます。

私は到底、ぎみゆらさんの情熱には及びませんが、今攻めようとする対象を全体として捕らえるだけでなく、出来るだけ分断し、離反させ、孤立させた上で攻めていくのが、戦略的には有効でしょう。

このような思考は、何か不純なものを感じ抵抗があるかも知れませんね。しかし冷静に観察すれば、日本も諸外国からずいぶんとこの「牛刀」を浴びせられているようですよ。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 「利己的伝子を利用せよ」  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/10(水) 8:34  -------------------------------------------------------------------------
   「利己的伝子を利用せよ」

利己的遺伝子−ごぞんじドーキンスの言い出した、比喩的概念である。
他者はどうあれ、自分だけは生き続けたい、そして自分の家族、子供、孫、さらには彼らが平穏に生き続けるため、それを取り囲む社会を守り・・・

この欲求は、根元的、普遍的なもので、あらゆる、政治体制、文化、民族を一元的に覆い尽くすものである、と私は認識している。
これが無ければ人間は、いや生命は今日存在していなかったであろう。

各国に、国益即ち利己的な動機を常に意識させ、「新核ストリップ条約」の成立に必要な、国連の場における、外交戦略の手順を記す。

1 核保有国の核は、あくまで抑止力の為であることを、当該保有国に認めさせ、確約させ、これを定める。(国連における、決議または条約の形でこれを担保する、以下全て同様)

2 いかなる戦争、戦闘行為であっても、他国に先んじて、核攻撃をしてはならないことを定める。

3 次ぎに、核による抑止力は、他国の核に対する抑止に限定していることを宣言し、これを定める。(このことは、論理の必然性から、核保有国は、非核保有国に対して、いかなる場合も、核による、攻撃をしてはならないことになる。)

ここまでが第一段階である。

国連の場において、非核保保有国は、核保保有国に対して、圧倒的多数を占める。
非核保有国は、これらの各国と連帯して、上記の取り決めを条約の形で、徹底的に要求し成立させることを、国連外交の最大目標とする。(これが、公平に見ていかなる国の国益も毀損していないことを、広く国際世論に訴える。)

この取り決めが、完全無欠なものであれば、これで核問題は解決したことになる。(残りは、テロと核の問題のみ)

なぜなら、核は、使用できない兵器となり、使用できないものは、存在しないものと見なしうる。

しかし決してそうとはならない、なぜならここから先、いわゆる「囚人のパラドックス」が出現してくる。これはゲーム理論では「疑惑のこだま」と呼ばれる現象である。

戦争が勃発し、極度に緊迫した状況下を想定すると

「敵国が、当方に先んじて核を使用する誘惑に駆られることは、無いとはいえないだろう、いやするかもしれない、相手も同様に考えているだろう、当方は相手を信頼していない(核の先制不可条約の遵守を)相手も同様に考えているに違いない、ならばいずれ使用するだろう、先に使用して優位に立とうか?相手も同じ結論に達したに違いない・・・・・」

この「囚人のパラドックス」があるからこそ、上記の1)2)3)項だけではまったく不完全なものとなる。
                                続く

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(1):「利己的伝子を利用せよ」  ■名前 : 曳馬野 太郎  ■日付 : 05/8/14(日) 8:38  -------------------------------------------------------------------------
   「囚人のパラドックス」が生じる条件は、二人の囚人が別々の独房に隔離され、互いにコミュニケーションが不可の状態であることによる。

これが「疑惑のこだま」が生じる、基本構造であるから、これを切り崩すことが是非とも必要となる。

従って、核抑止力に固執し、その保持を放棄出来ない核保有国の政策を、一応容認し、しかも自律的核削減の装置を組み込という微妙な戦略は以下のようなものとなろう。

1 抑止力たる核の保有は認めましょう。
2 しかし核による先制攻撃は禁止することを確約しなさい。
3 非核保有国に対する核の使用も禁止ですよ。
4 それでも、核保有国同士の、相互不信は拭えないでしょう、そう「囚人のパラドックス」がありますからね。
だからここは、どうしても「核の透明性」を実現するのがお互いの「利」に適いますよ。

それ故、核兵器の配備は「自国内の陸上に配備した核ミサイルに限定し、核ミサイルの照準はあらかじめ明確に定めて下さい」そうすることで、核抑止力が消滅するわけでなく、むしろ「疑惑のこだま」を除去した純粋な「核抑止力」が確立するでしょう。

いかなる国であろうと、軍事情報は「国家の最高機密事項」に属することは、自明でしょう。それを全て、明らかにせよといっているわけではないですよ。

「核兵器」だけを、切り離し、人類全体の利益の為「衆人監視のもとで白日に晒す」ことを求めているのです。

このことは、副次的にも、テロリストが「核」を入手する事の予防にも繋がりますよ。

正直に言って、この4項の説得は、相当困難であろうことは、想像に難くない。

例えば、米国での反対抵抗勢力とその理由は、中国のそれとはまったく異質なものであろうと思われる。

しかし、それぞれの「反対抵抗勢力」をあぶり出し、その「根拠」を国際政治の場に引きずり出すことが出来れば、この実現への展望もまたそれに対応する具体的戦略もやがて顕在化してくるでしょう。

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