Page 63 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼虎落笛の嘆き! 流水 05/5/2(月) 17:11 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 虎落笛の嘆き! ■名前 : 流水 ■日付 : 05/5/2(月) 17:11 -------------------------------------------------------------------------
京都あたりの住宅街を散策していると、時折竹で囲まれた垣根を目にすることがある。 そのとき、風がさっと吹くと、なんともいえない笛の音のような音を聞くことがある。 このような、垣根の竹の穴に風が自然に奏する笛の音を、昔の人は 「虎落笛 (もがりぶえ)」 と名付けた。 もうふた昔にもなるだろうか。わたしも奥嵯峨散策の途中、この虎落笛の音を聞いたことがある。なんとも心地よい響きだった記憶がある。 虎落 (もがり) とは、「戦 (いくさ) などの時、竹を筋違いに組み合わせ、縄で縛って柵としたもの」だそうだが、そうなると本来の虎落笛の意味は、わたしの感覚とは異なるものだったのだろう。たしかに、虎落笛は俳句では冬の季語である。 冬の烈風の時ならば、もっと高く鋭い音が出るはずである。そして、恐らくその音は、悲しみにすすり泣いている人々の心を象徴しているように聞こえるはずである。 昔の人は、このような生活の音にさえ、【虎落笛】などという素晴らしい言葉を残している。 JR西日本の幹部たちに、冬の烈風に吹きさらされている被害者家族の、すすり泣く【虎落笛】の音が聞こえているだろうか。時には強く、時には絶え入りそうに弱く、突然訪れた不幸の前になすすべもなく立ちすくんでいるご遺族たちの【虎落笛】が聞こえているのだろうか。 日本語には、さらに強く悲しく激しい【鬼哭愁々】という言葉がある。 【鬼哭愁々】とは、文字通り鬼が哭くほどの悲しみを意味している。 JR西日本の幹部たちは、よく腹におさめてなければならないのは、人々の悲しみは最初は【虎落笛】のようにかすかに聞こえていても、ある日突然【鬼哭愁々】のように相手を打ちのめさずにはおかない激しく強いものに変るということを。 JR西日本の幹部たちはよく腹におさめておいたほうがよい。経営効率・収益優先などという言葉に踊らされた幹部たちの心を、かすかな【虎落笛】の音から【鬼哭愁々】へと変った被害者遺族たちの心が襲い掛かるということを。 |