Page 2053 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼現実を直視し、国益に即した戦略 相良唯夫 04/12/17(金) 23:03 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 現実を直視し、国益に即した戦略 ■名前 : 相良唯夫 ■日付 : 04/12/17(金) 23:03 -------------------------------------------------------------------------
冷戦終結後、世界はいまだに安全保障をめぐる歴史的な激動期にある。その中にあって、わが国は自衛隊のイラク派遣、多国籍軍参加といった状況対応型の姿勢に終始し、安全保障問題全体を見渡すグランドデザインが一向に見えてこない。防衛能力を高めるための当面の課題も山積している。いまこそ自らを取り巻く現実を直視した防衛政策を果断に実行しなければ、日本が将来にわたって平和と国益を維持していくことはできない。 自助努力と共に米軍のプレゼンスが不可欠 世界は戦後長らく東西冷戦下にあり、軍事態勢の基本はその中で形作られてきたが、冷戦終結後、民族、宗教等に起因する複雑、多様な地域紛争や特に最近では国際テロ、大量破壊兵器及び弾道ミサイルの拡散などの新たな脅威に直面するところとなり、各国とも軍事態勢の見直しを急いでいる。再選されたブッシュ米大統領は昨年11月の声明の中で「冷戦終結後、米国やその友好国、同盟国がかつて直面してきた脅威は、ならず者国家やグローバルなテロリズム、大量破壊兵器と関連した、より予測し難い危険に取って代わられている。このような変化に対処するため軍事力の変革を進めつつあるが、さらにグローバルな軍事態勢の見直しを行わなければならない」と述べている。 国際テロ、大量破壊兵器及び弾道ミサイルの拡散などの新たな脅威については、ことにならず者国家や、国際テロ集団などの「非国家主体」の場合「抑止」の考え方が通用せず、さらに非国家主体の場合は見えないという特性も重なり、事前予防等の観点からも国際社会全体が協力して取り組むことが必須といえる。 わが国としても、このような国際協力活動には「国際社会への貢献」ということではなく、「自らの安全保障に直結する問題」として能動的に取り組んでいくべきである。従来のわが国の防衛政策は自国に対する武力攻撃への対応が中心であったが、今日においてはそれにとどまることは許されない。国際社会全体の安全保障上の課題への協力についても自衛隊の本来任務として位置づけなくてはならない。 次に、わが国周辺の状況はどうであろうか。朝鮮半島では、北朝鮮が核、ミサイル、拉致などの重大問題を起こしつつ、北側100万人、南側50万人の軍隊が対峙している。中国は、核、ミサイル等戦力の近代化を進めており、中台問題に関しては台湾対岸のミサイル配備を増強するなど軍事的圧力を強めているのに対し、台湾側は米国からの兵器導入含め防衛体制整備に余念がない。中国は海洋活動等においてわが国と摩擦を生じがちであるし、ロシアは大量の核を保有する軍事大国である。 このように難しい要因を抱えるわが国周辺において安定を維持していくためには、わが国自身の常時継続的な努力とともに同盟国たる米軍のプレゼンスが不可欠である。日米同盟はわが国有事の際だけでなく、地域の安定や国際協力活動においても重要な意義を有しており、その信頼関係の強化に努力する必要がある。 以上はWEDGE(ウェッジ)12の羅針盤より、新幹線の中で。ご希望ならば帰ってから続きも書きます。 |