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 ▼追悼 野村芳太郎監督  流水 05/4/13(水) 13:48
   ┗Re(1):追悼 野村芳太郎監督:訂正  流水 05/4/13(水) 13:51

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 ■題名 : 追悼 野村芳太郎監督
 ■名前 : 流水
 ■日付 : 05/4/13(水) 13:48
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   映画監督 野村芳太郎氏がなくなった。
わたしは、彼の映画の多くをみており、松竹映画を代表する監督として尊敬していました。
わたしが評価している作品のいくつかを書いてみます。

1958年 張込み  松竹大船
この松本清張原作の白黒作品は、野村氏の社会派監督として評価を決定つけたものです。

1964年 五辧の椿  松竹大船
山本周五郎原作のこの映画は、主人公おりょうに扮した岩下志摩の出世作であり、彼女の氷のような冷たい美貌の陰の怨念の凄まじさが、見事に表現されている。わたしはこの作品を彼の代表作の一つにあげたいと思う。詳しく知りたい人は、下記のところを読んでください。
http://www.ne.jp/asahi/gensou/kan/eigahyou14/gobennotubaki.html

1974 砂の器  松竹=橋本プロ
松本清張原作のこの作品は、ハンセン病問題を正面から取り扱った記念碑的作品です。
旧国鉄の操車場で他殺死体が発見され、警視庁捜査一課のベテラン刑事・今西(丹波哲郎)は、所轄署の吉村刑事(森田健作)と共に捜査を開始するところから、物語は展開します。原作は、この二人の刑事の執念の捜査を中心に描かれていますが、映画では犯人の和賀英了(加藤剛)とその父親(加藤 嘉)の流浪の旅を主旋律に描かれます。
ライ病になった父親が村から追い出され、子供とともに流浪の旅を続けます。そのいく先のない旅路の途中、ついに倒れた父親を助けてくれたのが、当時駐在所の警察官だったこの事件の被害者・三木(緒形拳)である、という筋書きです。これ以上は、ビデオをでもご覧ください。
わたしが最も印象に残っているのは、ハンセン病患者を収容する療養所(この映画の場合は、長島の愛園)に父親を訪ねた今西の前で、加藤嘉扮する父親が成人した息子和賀英了の写真を見て、慟哭する場面です。
一言の台詞もなく、ただ肩を震わせて写真を眺めながら、激しく慟哭する場面に、ハンセン病患者の歩まねばならなかった厳しく辛い人生が象徴されていました。
野村芳太郎監督の込められた怒りの大きさが見事に表現されていました。

紙幅が少なくなりました。その他、1977には、横溝正史原作の 八つ墓村  78年には、「事件」
「鬼畜」、79年には「配達されない三通の手紙」、80年には「悪い奴ら」など、話題作を次々発表しています。
彼の作品は、社会的問題作も多いのですが、その反面喜劇作品、風刺作品も多くあり、監督としての幅の広さを感じさせてくれます。
日本映画全盛期を支えた良質な映画人がまた一人消えてしまいました。心からご冥福を祈りたいと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re(1):追悼 野村芳太郎監督:訂正  ■名前 : 流水  ■日付 : 05/4/13(水) 13:51  -------------------------------------------------------------------------
   長島の愛園→長島の愛生園に訂正します。

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