Page 619 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼憎しみの政治論的意味 流水 04/5/31(月) 17:59 ┗Re(1):憎しみの政治論的意味 ニック 04/6/1(火) 3:39 ┗Re(2):憎しみの政治論的意味 流水 04/6/1(火) 7:14 ┗Re(3):憎しみの政治論的意味 ニック 04/6/1(火) 21:11 ┗Re(4):憎しみの政治論的意味 ギアえもん 04/6/1(火) 21:42 ┗Re(5):憎しみの政治論的意味 ニック 04/6/2(水) 1:01 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 憎しみの政治論的意味 ■名前 : 流水 ■日付 : 04/5/31(月) 17:59 -------------------------------------------------------------------------
21世紀は、憎しみの連鎖で幕を開けた。20世紀は戦争の世紀であると言われているが、「憎しみの連鎖」は明らかに20世紀の遺産である。 9・11以降、世界は変ったとされる。どう変化したのか。 明らかに、世界の人々が歓喜の声をあげて迎えたものでないことは確かである。それよりも、悲しさや憂いや心配の感情を持って迎えられた。 9・11の自爆テロ、バリ島の爆弾テロ・イエメン沖の爆弾テロ・モスクワでの劇場占拠・相次ぐパレスチナ人の自爆テロ・印パで繰り広げられるテロ合戦・ネパールでの争い、イラクでの報復テロ等枚挙に暇がない。 この非情で無惨な政治行動を支える人間的感情は、身体を覆い尽くさんばかりに膨れ上がった【憎しみの感情】である。 イラクでの邦人殺害に見られる剥き出しの敵意の表現は、わたしたちの足をすくませる。 この【憎しみ⇒報復】の感情は,適切な表現ではないが、日本人にはあまりなじみがない感情である。たしかに、日常生活での軋轢・家族を殺された肉親の感情など人間的な憎しみの感情はある。 江戸時代の武士階級は、【あだ討ち】という制度でこの感情を制御していた。 しかし、日本では、集団としての【憎しみ】の感情の発露はあまりない。 戊辰の役での恨みを、かなりの年月、県民感情として引きずってきた「会津藩」のような例外はあるが、(それでも戦争やゲリラ戦にはなっていない)集団の恨みの感情の表現はあまりない。 戦後の広島・長崎の平和運動、沖縄の反戦運動などは、【憎しみによる政治運動】といえなくはないが、その基底部分を浄化した形で行なっている。 政治的に「憎しみの感情」を掬い上げ組織化したのは、日本では戦前の国家ファッシズム以外にはない。劣等感の裏返しとしての反欧米・中国・朝鮮をはじめとするアジアへの蔑視、など、人間が持つ【憎しみ】の感情・劣等感を上手く政治的に利用したといえる。 現在のアメリカを中心とした世界の政治情勢を解く鍵は、この【憎しみ】【恐れ】【報復】というきわめて人間的な感情である。 アフガン戦争は、この【憎しみ】の感情のはけ口を求めたものである。もちろん、その背後には国家の冷徹な利害得失の計算がある。ただ,民主社会というものは、民意を無視してはどのような政策も実行できない。 アメリカが「対テロ戦争」の継続を叫び、「対イラク攻撃」を主張しても、国際社会の支持をあまり得られないのは、「憎しみ」の感情を共有できないからである。 9・11直後のアメリカの「憎しみ」と「報復」の感情は、世界の国家・民衆たちにある程度共有できた。 しかし、それをイラクまで広げることは、この「憎しみ」「報復」の感情の理解を超えることである。 如何に超大国といえども、自国の国民以外に「憎しみ」「報復」の感情を押し付けることは出来ない。 それと反対にパレスチナの民衆の「自爆攻撃」を「テロ」と切り捨てるには、あまりにもエクスキューズがありすぎる。パレスチナ人民の「苦難」と「憎しみ」「報復」の感情に対するシンパシーがあるからである。 しかし、それも自爆テロ自体が自己目的化するにつれて、シンパシーが薄れる。このあたりの計算を間違うと、独立運動も抵抗運動も成功しない時代になりつつある。 今の日本の言論状況を見ると、この「憎しみ」や「報復」の感情を剥き出しにした議論が横行している。下品な言葉を連発して過激な議論を展開している人を見ると,幕末の尊皇攘夷論者か戦前の満州浪人を髣髴とさせる。 この種の過激な議論にも一定の意味はある。「憎しみ」の感情も「報復」の感情も伝染しやすい。状況がきつくなると、この種の議論が世論を動かす場合がある。 現在の北朝鮮に対する議論などその典型である。北朝鮮の国家体制を了とするものはいない。金正日独裁体制を了とするものもいない。北朝鮮の拉致事件の対応を了とするものもいない。北朝鮮の核開発・ミサイル開発に懸念を抱かないものもいない。 しかし、「憎しみ」や「報復」の感情を増幅させて、闇雲の軍備増強路線に走ったり、強圧的な外交だけが正しいとする議論は別物である。 人も組織もしばしば間違う。人は全能の神ではない。間違うのは仕方がない。 問題は,間違った時の対処の仕方である。現在の日本の惨状は、人も組織も間違った時の対処の仕方がまるで出来ていないところにある。 こんなことは、子供でも知っている。教師が子供から信頼を得るのは、間違った時、子供の前で堂々と謝ることができるかどうかにかかっている。 人間はしばしば誤まる。だから人間なのだとも言える。その間違いを執拗にとことん追求するのは、自分もとことん追求されることを前提にしなければならない。 原理主義の恐ろしさは、この一点の非も間違いも許さない論理性にある。 米国とイスラム原理主義の非妥協的な対立は、好むと好まざるとにかかわらず、世界をその渦中に巻き込む。 21世紀の世界は、原理主義同士の対立を如何にして克服するかにあると思う。 こんな世界は息苦しくてかなわない。 |
おっしゃる通りです、積極的に負の方向へ人を引っ張りたがる指導者などが多すぎますね。 バイキングの世界では一族のメンツは相手を殺す事によって一族が総動員で取り戻さねばならなかったようです、この辺り江戸時代の敵討ちに近いと思うんですが、それがもとで一族が全滅した部族も居たとか。 本末転倒、笑えない話です。 相手にレッテルを貼り憎しみを煽るような行動が戦争を引き起こすのは確実でしょうね、こんな下らない事で全滅するより前に、この連鎖は今世紀でいい加減に止めなければなりますまい。 |
ニックさん、おはようございます。 その通りです。 【憎しみの連鎖】と書くと、軽いのですが、殺された側の恨みは、何十年と 続くものです。 戦争指導者は、自分の代だけで終わらない、この負の連鎖を心の中に刻み込んでおかなければなりません。 ブッシュ大統領が、イラク戦争の歴史的な意味について聞かれて、「そのときは生きていない」と答えていました。つまり、歴史的意味など知ったこっちゃあない、というわけでしょう。 ここにイラク戦争の本質があります。バクダッド陥落時、米軍が厳重に警備したのが、石油省をはじめとする石油関連施設。メソポタミア文明の貴重な遺産を収蔵している博物館をはじめ、他の施設は略奪されるに任せた。 この米国の【歴史】無視の態度は、【人間無視】につながります。これに対する反発が世界の人々の反米意識の根底にあります。 米国がはじめた【対テロ戦争】の後遺症は、21世紀中に解消できるかどうか分かりませんね。 |
アメリカのチェイニー副大統領とエンロンの癒着は有名でした、イラク戦争が石油戦争と言われる所以がここに有ります。 http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Bushwar/oil_and_war.htm 利益の為に人殺しも辞さないと言うのがアメリカ式の戦争の特徴ですが、過去の列強諸国の植民地支配もやはり同じ所に根ざしていました。 殺されれば恨まれる、恨まれれば報復を買う、この連鎖が太古より連綿と続いています。 過去の事実を真摯に受け止めなければ必ず同じ過ちを犯します、それゆえ私は正当化論には反対です、まずは自分達の足元を見つめ直すところから始めなければならないですね。 |
今のような状態だと一世紀たっても2世紀たっても終わらんと思います。 それでも希望を持つなら、例は被爆者の人だと思います。 ダメージがでかすぎたせいで、憎しみを通り越して戦争否定派になりましたから。 「トロイ」の映画やってますが、あのころほど世界は戦争したがるものでは無くなったけど、 兵器は格段すぎるほど強力で便利(悪い意味で)になってますからね。 ほんとに世界から戦争なくすには、全ての人間がテレパシー使えるようにならないとダメだと思います。 |
いやぁ、でもマスメディアの発達により、世界がより近くになってきていますし、それぞれの国の常識も一世紀前に比べればかなり近いものになってきています。 増してやベトナム戦争の頃から本格化したTVニュースでの戦争報道が今は家に居ながら現実のものとして捉える事が出来るのですからあながち不可能でも無いと思いますよ。 更には今回の戦争では世界中で反米行動が沸き起こりましたから、人種が違ってもやっていい事と悪い事には洋の東西を問わず共通点があると言う事でしょう。 |